<家族の食卓・カイト不在ver.>


家庭ぼうえい軍、さんじょー!
元気なユニゾンに背後を振り返ると、そこには決めポーズ姿のリンとレンがいた。
二人の腕には画用紙をホチキスで留めて作った腕章が巻き付けてあり、
「かないあんぜん」の文字が自由奔放に躍る。

「カイト兄がいないから!」
「今日からこの家の安全は!」
「オレと!」
「リンが!」
『守ります!』

力強い宣言に、メイコは顔を思わず綻ばせた。
洗濯物を畳む手伝いをしてくれていたミクも同様で、「頼もしい!」と声援を送っている。

今日から数日の間、仕事の関係でカイトが家を空ける。
リンとレンは、「兄の代わりに姉二人と家を守らなければ」と、
使命感に燃えているらしい。

「OK。リン隊員、レン隊員、諸君の第一警護対象はプリンセス・ミクだ! さぁ姫君をお護りせよ!」
『ラジャー!』

姉の指令を受け、威勢良く敬礼をする双子。
メイコの言葉を意訳すれば、「昼食の準備をする間、二人のお守りをお願いね」
というミク宛てのメッセージになる。
その意を即座に汲み取った妹は、「リンちゃん、レン君、お部屋に行こうか」
と双子の手を取り立ち上がった。
きっと一緒に歌でも歌って過ごすつもりなのだろう。

「家庭防衛軍のお二人さん、お昼ご飯は何がいい?」

良い子にはご褒美を。
そんな気持ちでリクエストを聞けば、『オムライス!』と弾んだ答え。

「メイコちゃんも、何かあったらすぐに呼んでね」
「オレ達すっ飛んで行くからさ!」

力強く請け負う二人の言葉が嬉しくて、メイコは再び相好を崩す。
ここにいない誰かさんにも、今の子供達の姿を見せてやりたい。
彼が帰って来たら残らず語って聞かせようと決め、メイコはキッチンへと向かった。

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