・某SNSでチャットをやったよ!
・露天風呂ネタで盛り上がったよ!
・挿絵という名のご褒美を頂いたよ!
シチュエーションとしては、メイコが露天風呂に入った後に「男」「女」の暖簾を入れ替え→カイト入浴→リンちゃん●REC(笑)

お題:露天風呂


「何そんな所で突っ立ってんの」

風邪ひくわよ?
挑発的な眼差しでメイコが言う。
その目元は高めの湯温のせいでほのかに上気し、唇は湿り気を帯びて艶めいている。
何よりも、彼女は衣服を一切身につけていなかった。
満天の星空の下、露天風呂の湯に浸かってゆったりとくつろいでいるのだ。
悲鳴もあげなければ前を隠しもせず、岩陰に移動しようともしない。
角度と距離の関係で、カイトはその美しい横顔をはっきりと見てとれた。
白い喉と浮き出た鎖骨、胸元の膨らみまでも。
水面に出るか出ないか、危うい所で桜色の突起が揺れているのを知覚した瞬間、カイトは全力で顔を背けた。

「め、めーちゃんこそタオルくらい巻きなよ」

ひりつく喉から絞り出した声はみっともない程震えていて。
「それってマナー違反よ」という彼女の返答すらろくに拾えなかった。
当然だ。
頭は目の前の現実を処理仕切れない。

(僕は男湯に入った筈なのに……ちゃんと確認したのに!)

「男湯」と書かれた濃紺の暖簾をくぐったのは間違いないのに、何故自分の目の前にはメイコがいるのだろう。
こんなに寛いだ様子で、恥ずかしがる様子すら見せず。
それとも矢張り自分が勘違いをしていて、女湯の方に入ってしまったのだろうか?
メイコの余裕綽々な態度は、痴漢も同然のカイトに対する怒りの表れなのかもしれない。

「ごめん! ごめんねめーちゃん! 僕間違えたみたいだ!」

謝罪と、故意に覗いた訳ではないことだけ告げ、回れ右をしようとする。
と、メイコが「待ちなさいよ」と引き留めた。

「な、何?」

やはり鉄槌が下るのだろうか。
覚悟を決めたカイトの耳に、ぱしゃりと水音が届いた。
メイコの脚が湯を跳ね上げたのだ。
高々と足を組んだせいで、水面から丸い膝が顔を出す。
そこから伸びる白い脚が招くようにゆらりと揺れ、また湯の中へと戻された。

目眩がする。

あまりに蠱惑的な振る舞いを見せるメイコのせいで、自分の体が寒さ以外のために震えているのが分かった。

(やばい……やばいやばいやばい!)

拳を握る。奥歯を噛みしめる。
一旦引き結んで戒めた唇でどうにか笑みの形を作り、「どうしたの、めーちゃん」と訊ねた。
彼女は笑い返すでもなく、かといって怒る訳でもなく、不思議な無表情でじっとカイトを見つめて言った。

「いいじゃない、入っていけば?」

思いもよらぬ言葉に、は、と呼気が漏れる。
なんだ。一体この人は何を言っているのだ。

「ここの露天風呂、あと15分もしたら混浴になるのよ。部屋に置いてあった案内見てなかったの?」

全く見ていなかった。
唖然とするカイトに向かって、メイコは尚も言葉を紡ぐ。

「たった15分だもの。入ってても良いんじゃない? こんな時間から入りに来る人なんかいないわよ。いても混浴に抵抗がない人でしょうしね」

だからこっち来れば? 風邪引くわよ。
ぶっきらぼうに言われてしまえば、カイトに拒む権利はない。

「じゃ、じゃあ……お邪魔します」
「どーぞ」

それでも流石に隣に腰掛けるのは躊躇われて、少し離れた場所に、更には目を逸らし気味にして陣取る。
腰にはメイコ曰く「マナー違反」のタオルを巻き付けたままだが、彼女は何も言わなかった。
自宅の風呂よりも熱めのお湯は、夜風で冷えた体をすぐに温めてくれた。
この場の空気はともかく、温泉自体はやはり良いものだ。
皆で来ることができて良かったな、とカイトは思った。
そうやって家族について考えることで、メイコのみに集中しそうになる意識を必死で散らす。

「めーちゃんはもうすぐ上がるの?」

間もなく混浴になるというのなら、きっとそうなのだろう。
あわよくば女性と入浴、などという不埒な考えを持った輩と脱衣所で鉢合わせしないとも限らない。
そろそろ出た方がいい、そう促そうとした時だった。

「……まだいる」

ぽつんと小さな声。
え、と思わず聞き返したカイトに、「まだいるの!」とメイコが怒鳴る。
そして彼女は組んでいた足を解き、膝を抱えてしまった。
隠すように顔を俯けて。
……濡れ髪から覗く耳を可哀相なくらい赤く染めて。

「めーちゃん?」

さっきまでの切羽詰まった感覚が一気に吹き飛び、カイトはメイコの前へと移動した。
近付いて、ようやく気が付いた。
湯船から露出している彼女の肩が小さく震えていることに。

「……まだいるの」

呟くその声もまた。

カイトはそっと彼女の髪を撫でた。
促されるようにして顔を上げたメイコの瞳が潤んでいる。

(ああ、そうか)

緊張していたのはカイトだけではなかったのだ。
メイコの必要以上に大胆な態度は、ぶっきらぼうな声は、彼女の照れ隠しに他ならない。
虚勢を張って、何でもない振りで、カイトに入浴を促したメイコ。

(……自惚れてもいいのかな)

その答えは、目の前の彼女が教えてくれる。
正解を聞きたくて、カイトはメイコの細い顎にそっと指をかけた。









「……っていう絵が撮れたんだけど」
「GJ。リンちゃん超GJ」
「鼻血拭けよミク姉……」

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お粗末様でした。
そしてこれこそがメイン! rayさんによる素晴らしい挿絵はこちら

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