せかいでいちばんかしこいむすめ(前編)


ボカロでめるひぇん劇場。パロです。

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昔むかしある所に、茶色い髪に茶色い瞳の娘が一人おりました。
娘には金色の髪に碧い瞳の双子の妹と弟がいて、三人は仲良く暮らしていました。

三人の暮らしはとても貧しく、なんとか双子を養っていかなければと思った娘は、お城へとでかけて行くと、この国を治めている青い髪と青い瞳の王様に、どうか小さな土地を分けて下さいと頼みました。
王様はその願いを聞き入れてやり、娘は双子とともに、その土地で花を育て始めました。



娘のことが気に入った王様は、ことあるごとに娘に会いに来るようになりました。

「馬に乗って遠くの丘まで出かけてみたくない?」
「いいえ、王様。私にはお花の世話がございます」
「街で噂のアイスクリームを食べてみたくない?」
「いいえ、王様。私には双子の世話がございます」
「双子と一緒に城に来て、僕と一生暮らすのは?」
「いいえ、王様。頂いた土地と家だけで十分です」

王様が何度誘っても、娘は首を縦に振ろうとはしません。
そんなある日、双子が畑のすみで、光る何かが埋もれているのに気付きました。
それは片方だけの金の靴でした。

「姉さん、この土地はもともと王様から貰ったものだから、この靴も王様のものだわ」
「この靴は王様にあげようよ。そうしたら、土地をもっと分けてくれるかもしれない」

娘はこれに賛成せず、妹と弟にこう言いました。

「片方だけでは駄目よ。一足揃っていないのなら黙っていた方が良いわ」

その言葉に納得できない双子は、娘には内緒でお城へ行くと、王様に靴をお納め下さるようにとお願いしました。
王様はこの他には何も見つからなかったかと尋ねました。

「君達のうち、どちらかがいなかったらどう思う?」

王様の問いかけに、双子はそんなのおかしい、ありっこないと口々に言いました。

「それと同じように、片方の靴が見つかったのなら、もう片方も必ずあるはずだ」

王様は双子をお城に閉じこめて、娘のもとを訪れました。
娘は王様に、どうすればあの子達を返して頂けますかと尋ねました。

「もう片方の靴を差し出せば返してあげるよ」
「それは不可能です、王様」
「では、服を着ず、裸ではなく、馬にも馬車にも乗らず、道を歩かず、道の外も通らないで僕のところへおいで。それが出来たら、また双子と暮らせるようにしてあげる」
「できなければ?」
「その時は僕の后になってもらう」

そう告げて、王様はお城へと帰って行きました。
娘は桃色の髪の知人の所へ行き、大きな網を借りると、着ているものを全て脱いで体に網を巻き付けました。
これで、娘は服を着ず、また裸でもなくなりました。
次に紫色の髪の知人の所へ行き、彼の馬で彼女の乗ったそりを城まで曳いて行って欲しいと頼みました。
これで、馬にも馬車にも乗っていないことになりました。
そりに後ろ向きに座った娘は、足の親指だけを地面につけました。
これで、道を歩かず、道の外も通らないことになりました。

そうして娘がお城に到着すると、王様は彼女が全ての条件を満たしたことを認めました。

「これで私を双子と一緒に暮らせるようにしてくださいますね?」

王様はにっこり笑って答えました。

「もちろんだよ。この城で、ずっとね」

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双子はみかんとバナナと特注ロードローラーで買収済み。卑怯だ!

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